死のロングウォーク

The Long Walk
The Long Walk Unabridged CD’s 全編掲載の朗読CD

死のロングウォーク(原題:The Long Walk)はスティーブン・キングがリチャード・バックマン名義で書いた小説です。

かつてアメリカでは、1年間に1冊しか小説を出版してはいけないという慣習があったそうです。

多作の作家はどうしたかと言うと、ペンネームを変えて複数の小説を発表していました。

キングがバックマン名義でも作品を発表しているのには、そういう理由もあるようです。

スティーブンキング名義ですが、ホラー作品と言う意味ではキングらしい作品だと思います。

文体が微妙に違うような気もしますが、書かれた年代によるためなのか、意図的に買えているのかはよく分かりません。

ちなみに藤原竜也、前田亜季、柴咲コウ、栗山千明、塚本高史、ビートたけしらが出演した、映画バトル・ロワイアルの原作はこの作品が下敷きになっているそうです。

あらすじ

アメリカでは毎年5月1日にロング・ウォークとよばれる大会が開かれる。

その名前の通り、誰が出来るだけ長く歩けるかを競う大会だ。

出場者は全米から選ばれた100人の少年。

一人一人と脱落し、最後に残された一人が優勝者となる。

途中トイレに立ち寄ることも、休憩を取ることも、時速4マイル以下にスピードを緩めることも許されない過酷な大会である。

ルールを破ると1回ごとに競技者は警告を出される。

そして、4回目には競技者は失格する。

この競技が何より厳しいのは、失格者はその場で射殺されてしまうのだ。

そう。

優勝者以外は、誰一人として生き残れないのである。

何日にも及ぶ過酷な競技の間、競技者達は互いに友情を育んでいく。

しかしそのことは、この競技を終わらせるためには、自分が死ぬか友人が死ぬのを待つかの二者択一でもあった。

英語の難しさ

英語自体は比較的やさしい方だと思います。

一文一文は短いので、文体としては読みやすいです。

単語の水準も、キングの作品としては比較的易しい単語が多い気がします。

スティーブン・キングの作品を英語で読んでみたい人にはおすすめできるかもしれません。

まあ、残酷な作風が合えばでですけどね。

残酷な描写が少ない読みやすい作品がよければ、クージョのほうが良いかもしれません。

感想など

状況設定は上に書いたようにとても単純です。

作中は、ほとんどの部分で歩くシーンが延々と描かれます。

ただ歩くだけという状況を、400ページ近い小説にしてしまうキングの筆力には驚愕させられます。

ただ、途中ちょっとだれるかなあと言う感じがしないではありません。

もうちょっと大きな変化が欲しかったかな。

ちなみに人が死ぬシーンの残忍さは、キングの他の作品以上だと感じました。

知らない少年同士が知り合い、友情を育み、一人一人殺されるのを見るという状況は相当残酷なものです。

100人が一人ずつ死んで行くので、そういうシーンの数も多いです。

こういうのがダメな人は、違う作品を当たった方が良いかもしれませんね。

 

ちなみに、この作品の読後感は最悪でした。

最後に救われた思いがすると言う感じの作品を読んだのは久しぶりです。

夜中の1時過ぎに読み終わったのですが、読後感のわるさからしばらく寝られませんでした。

ダニエル・キイスの「アルジャーノンへ花束を」も救われない気がしましたが、それ以上だったかも。

なので、決して嫌いな作品ではないのですが、おそらく読み返すことは無いでしょう。


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